2011/12/15(木)
アイデア量産の方程式
*新しい発想を生む思考回路:
・「新しい発想」は「ひらめき」ではない/自分自身に対して質問し、問題解決法を早くしつこく頭の中で構成することで出てくるもの。
*例えば、2002年3月『チャイナ・インパクト』という本を著作した。
・「中国地域国家論」の発想から中国の真の姿を描き、その後の中国でのビジネスに大きな影響を与えた本/この例で解説する。
・中国が「地域国家」に変質してきたことを指摘/「中国は脅威ではない」「日本企業の敵は、じつは中国をうまく内包化した日本企業である」と著した。
・中国学者でない者がなぜ『チャイナ・インパクト』のような本を書けたのか/中国人自身が読んで「これが我々の急成長の原因なんですね」と気づく/なぜ著作の発想が出てきたのか明確な答えを持っていないが、一つには、私が極めて疑い深いということがあるだろう。
・学者や中国通と言われる人の話を鵜呑みにしないということだ。
・私は世界60カ国を訪れ足を使ってさまざまな物事を見、観察してきた/歴史的な時間軸、地政学的な空間軸の二つの次元で瞬時に考える癖がついている/1998年朱鎔基首相の国有企業の改革、金融システムの改革、行政のスリム化という三つの改革を断行した/「もしかすると、アメリカのような連邦制の国、中華連邦になってきたのではないか!?」という仮説が立てられる状況になってきた/「もしかしたら」という思考回路をもつことが新しい発想の源なのだ。
*仮説と検証が生んだ「中国地域国家論」:
・中国に何度も足を運ぶと、地方都市の市長が「この土地を自由に使って好きなことをやってください」と平気な顔で言う/中国では地方自治権が確立し、地域国家的になってきている証拠なのだ/こういう例を何度も経験し、計画経済の中国のほうが地方が大胆に改革をやれる実態がわかってきた/仮説が検証できてくる/これが新しい発想と言われただけ。
*21世紀に「専門家」は存在しない
・東西冷戦が終結に向かった1985年以降、世界秩序が新しくなり専門家などまだいない。
・お金と情報が国境を自由にまたぐようになり、国境線は実線でなく点線になった/「ボーダーレス経済の提唱者」と呼ばれるが、私はただ「これまでの経済学は成り立たない」と言ってきた。
*円高を克服した「三つの蛇口」の発想:
・企業が国境をまたぐ手伝いを仕事としてやってきたので、いち早く経済がオープン系になっていることに気づいた/日本は1985年9月のプラザ合意で、1ドル235円が84円になるという塗炭の苦しみを味わった/困り果てた企業からその解決方法を依頼され、考え抜いたのが「円高の克服方法」①日本でコストダウンをはかる②米国にいって円と関係なくやっていく③アジアに進出して円とドルの中間通貨でやる/この三つの水道の蛇口のどれをひねるかでバランスを調整して為替に対して中立になろうというわけ/考え得る戦略的自由度を全部使って対処するということで考えに考えて生み出したのが「三つの蛇口のひねり方」だ。
*サイバー時代の「大前の法則?」:時空を越えて話題が共通化
・インターネットにつながる世界の8億人(2004年)/①インターネットを使い始めて五年目になると皆、挙動がとても似てくる/②世界最大の検索エンジン「グーグル」で情報を検索しているから、皆が似たような立ち居振舞いをするようになる/③国境を越えて情報が簡単に入手できるから、世界中の伝統文化をこれから一つにしていく可能性さえある。
・これまで国際的に情報を伝える場合、細部のニュアンスまで含めた実態が伝わりにくかったが、ネット上の情報量の豊富さによりニュアンスまでも伝えられるようになった。(豊富な情報をうまく取りこむ思考回路があれば)
*古い思考パターンから抜け出す方法:
・思考回路を鍛えるうえで有用なのは、ふだん使っていないセンス(感覚、触覚)を使うこと/例:五分後の雲の形を想像する/例:講演でビジネスマン向けに話すより、聴衆に女性が大勢並んでいるとその反応を見ながら話し方を試してみたり、感覚の違うことをする/また、英語で話していると日本語とは違う思考回路となり、発想のスイッチが切り替る/例:夜汽車に乗って左座席で車窓を見ていると、左目に外の灯りがパッパッと通りすぎていく。左目は右脳につながっているから、右脳の刺激になってアイデアが浮んだり、考えがまとまったりする/例:考えるときのメモは(青色の)方眼紙を使い、左下から右上に向かってポイントを書き出していく。右上に達するときにはピラミッド構造になっていて、一つの結論が導き出されていることも多い。(大前氏の努力成果なのだろうなぁ)
*脳を刺激する休日の過し方:練習課題(3題)(抜書き省略)
・「考える」とは自分に質問すること/「当り前」と思わない人が成功する/発表内容を相手にあわせて変えるのではなく、話し方を変えるだけ/仮説をぶつけあえる友人を持とう。
:元へ