2011/12/14(水)
非線形思考のすすめ
*線形思考では通用しない:
・科学的アプローチと人文学的アプローチ
・論理的思考の根本:原因を見つけて事実を解明していく科学的アプローチ/「空は青い」と思うのが人文学的アプローチ/「ほんとう?」と思って調べるのが科学的アプローチ/ヒマラヤの頂上で空を見ると「じつは空は黒い」と三浦雄一郎氏が言う/大気圏の外側の空は黒い/「青い空」には理由、原因がある。
・複雑系の世界では、原因が同じでも初期条件が違えば結果が同じになるとは限らない/非線形、複雑系では均一条件ではなく多数の入り組んだ条件のなかで現象がおこる/世の中の状況は複雑系であり、多数の条件が影響しあいながら時々刻々と変化している/ケインズ経済やニュートン系力学で考えるような均一モデルでは通用しない。
・複雑系の世界では非常に多くの因子があり、夥しい数の証拠がある/だから「ピラミッド構成法」を用いた論理的な思考を積み重ね、科学的な分析で絞り込んでいく。
*経済学者の言うことを鵜呑みにするな:
・政治学者や経済学者は「線形思考」でしか考えていない/「一因一果:単純系」の教科書風の回答はもはや成立しない/鵜呑みにするな。
*そのフレームワークを捨てなさい:
・古い「均一モデル/一因一果」などを微調整して新モデル・新フレームワークを作ることはナンセンス/複雑系をモデル化することは不可能/各場面での「多数の条件・夥しい数の事実」を切り捨ててモデル化しても意味がない。
*科学的思考に文系も理系もない:
・論理的思考の能力は文系、理系でそれほど大きく影響されない/個人差の方が大きい/複数の変数を同時並行的に見る(訓練が役立つ?)/音楽では複数の音を聞き分ける、野球、サッカーでは球の動き以外にカバーする人の動きも見る/多数のデータを眺めて足りないデータ部分を直観できる。
*答えのない問題に答えを見つける:
・2004年芥川賞で二人の若い女の子が受賞した/すごいのは『蛇にピアス』を書いた金原ひとみと言う子の父親/学校にも行かず家にも帰ってこないような娘の文章をずっと添削してやっていたという/(学校でこれをできるだろうか)。
・学校も現代の価値観の変化についていけていない/「一因一果」モデルを覚えさせるだけでなく/(風が吹けば桶家が儲かるの)「どうして?」と考えることを学ばせたい。
*今の学校は人間の脳を壊す凶器:
・複雑系の世の中で学校の果すべき役割は答えがないときにどうするかと「考える癖」をつけさせることだ/記憶偏重教育では考えさせる時間を惜しむ/新しい発想を生み出す脳が殺されてしまう。
*「やりたいこと」に忠実になれ:
・中学に入ったら自分がやりたいと思うことを徹底的にやらせるほうがよい/学校秀才よりも自分で考えて答えを出していく実務秀才がよい。
*北欧の強さの秘密:国・人口は小さいが、1人当りのGDPは世界の上位にある。
・北欧諸国の教育現場を見れば、理由がわかる/第一に「teach:教える」という言葉が禁じられている/教えるということは「答えがある」ことを前提としている/だから北欧諸国では「learn:学ぶ」という言葉を使う/「学ぶ」とは生徒達の自発的な動作を求める言葉だ/1980年代「高福祉の国」として没落しかけていた/1992年北欧金融危機後に教育改革をしてわずか10年あまりで成果を生み出している/自分で考えて行動し答えを出していく実務秀才を目指したのだ。
*知識(答え)ではなく「思考パターン」をテストする:
・「これだけの証拠でどういう結論を出しますか?/これだけの証拠ではまだ結論は出せませんか?」と問う
/知識ではなく、思考方法が身についているかを見極める。
・知識が十分でなくとも、問題の前提条件を自ら想定して思考を進められるか?
*「知的備蓄」のすすめ/日常から知的好奇心を働かせて身近な人に話を聴く/多様性の時代だから新しい思考回路を鍛え直していくべき/中途半端に時間を使うな/何ごとも中途半端になりがち/徹底的に考える時間を確保する/日常の要件でパターン化が可能なものは積極的にパターン化する。
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